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教えて!偉い人!【女子大生の社長訪問日記】

50年ほど前、フジテレビの女性社員は25歳定年制という制度があったことをご存知ですか?

女性の働き方改革が近年叫ばれていますが、そもそも女性が就活をするという考え方は50年前には少なかったです。

愛想がよく、いつもニコニコしていなさい。

結婚したら、子どもを産んだら仕事は辞めるでしょ?

それが世間一般的な考え方でした。

当時男社会だったテレビ局で結婚・出産を経ても働き続ける第一人者となり、現在もなお輝き続ける平田さんにお話を伺ってきました!

このシリーズでは現役就活生の私が現役社長の方々を訪問し、インタビュー形式で社長さんの人生やキャリアの選択方法について語っていただきました。

働き方改革と緊急事態宣言で変わったことはなんですか?

今後の就活生はどこを見て会社を選んだらいいの?

今世紀最大の就活氷河期を生き抜いた私が聞きたかったことをズバズバ聞いてきました。

就活生の皆様、ぜひ参考にしてみてください。

編集担当:たまご

インタビュー日時:2021年12月

諦めずに継続し続ければ必ず糸口は見つかる

今回インタビューさせていただいたのはヒラタワークス株式会社の平田静子社長。

短大を卒業後、フジテレビに入社するも入社当時フジテレビは女性25歳定年制。

しかし平田さんが25歳間近でこの制度は撤廃に。平田さんはフジテレビで結婚しても出産しても働き続ける最初の女性社員となりました。

その後グループ会社である扶桑社という出版社に出向し、編集長も経験されています。

現在は今までお世話になっていた方々に恩返しをしようとヒラタワークスという会社を立ち上げました。

フジテレビはかつて女性25歳定年制だった

たまご:平田さんの略歴を教えて下さい。

平田さん:明治大学の短大を卒業してフジテレビに入社しました。入社当初はフジテレビが『女性社員25歳定年制』を採用していたのですが、私が25歳になる直前でこの制度が撤廃になりました。私は23歳で結婚して産休も取ったので、会社の人たちからすると、寿退社か、出産とともにそろそろ辞めるだろという感じでしたが、結局二人子どもを生んでも復職し、定年退職まで働きました。

平田さん:結果子どもを産んでも働き続けたフジテレビで最初の女性社員になってしまいました。

たまご:25歳以上で働き続けるだけではなく、子どもを育てながらも働き続けるというのは革命だったんですね。

平田さん:そうですね。35歳までフジテレビで働いて、フジサンケイグループのグループ会社である扶桑社という出版社に出向するという話が来ました。最初は出版界のことが全くわからないので不安でした。

平田さん:出向して7年間ずっと宣伝部で働いていたのですが、42歳になったタイミングで急に編集長になってみないかというお話をいただきました。いままで編集の経験はなかったので驚きましたが、私は42歳で初めて編集長という肩書がついたんですね。

たまご:テレビ局に出版社と私が憧れていた職業を2つも経験されていてとても羨ましいです。いまでも就活生に大人気の職業ばかりですね。

たまご:現在はご自分で会社を経営なさっているんですよね。

平田さん:62歳の定年までに扶桑社で役員も経験しまして、現在はヒラタワークスという会社を立ち上げて11年目になります。

平田さん:ヒラタワークスは現在、出版プロデュースやコンテンツプランニング、おしず塾という女性の人間力を育む講座などを行っています。

平田さん:その他にも明治大学の評議員や株式会社アマナの社外取締役も行っています。

たまご:本当にさまざまな活動をされているんですね。評議員も社外取締役も推薦でしかなれないのにすごいですね。

たまご:定年退職してから起業しようと思ったきっかけはなんでしたか?

平田さん:60歳になったときに、今後の人生について考えたんです。自分の人脈や経験を自分のものだけにして生きるのはなんだかもったいないなと思いました。そこで残りの人生は今までいただいた恩をお返しする人生にしようと思いました。完全に仕事をやめて社会から離れてしまったらお返しできないじゃないですか。

平田さん:お返しとしていろんな業務をやっていこうと思っていますが、その受け皿として会社を立ち上げることを決めました。

『職業:家事手伝い』がステータス

たまご:平田さんの就活時代のお話を聞かせてください。

平田さん:私が学生の頃は、女性が就職するという文化があまりありませんでした。男性が働きに出て、女性はお家にいましょうという風潮だったんです。だから『どこで働いているの?』と聞かれたら『家事手伝い』とそれが仕事かのように答える女性が多かったです。

平田さん:それに『家事手伝い』と答えるほうがお金持ちの印象も与えることができたんです(笑)

たまご:確かに箱入り娘みたいな印象を受けますね。

平田さん:そうなんです。大学を出たら花嫁修業として家で家事手伝いをするという女性が圧倒的に多かったです。でも私が通っていた学校は周りの友達も割と就職に乗り気な子が多くて、私も大学の就活掲示板を見に行ったんです。

平田さん:そこでフジテレビに興味を持ちました。テレビってどうやって作るんだろう。映画やドラマってどうやって作るんだろうというのが気になって。ただ校内選考はそのときには締切が終わってしまっていたんです。

平田さん:だからフジテレビに直接電話をして、校内試験が終わってしまったのですが受けたいんですけど良いですか?と聞いたらOKを頂きまして、入社試験を受けることができました。

たまご:その時からテレビ局って人気だったんじゃないですか?

平田さん:人気でしたよ!

たまご:その倍率を突破できた理由はなんだと思いますか?

平田さん:愛想がよかったからかな(笑)女性25歳定年制を採用している時点で、女性社員に求めることはニコニコしながらお茶くみをしたり、電話を受けたりする人なんです。女性は職場の花と言われたくらいですから愛想の良い若い女性が重宝されていたんですね。

たまご:今とは全然違いますね。今言ったらいろんなハラスメントに刺されそうな考え方ですね(笑)

拘置所との手紙交換から生まれた『涙の谷』

たまご:扶桑社では編集者としてベストセラー作品をたくさん出版されたんですよね。

平田さん:2000年に発売した『チーズはどこに消えた?』というビジネス本は累計430万部の大ヒットとなりました。その他にも秋元康さん原作の『象の背中』という本や、ホステス殺人事件で時効の21日前に逮捕された福田和子の自叙伝『涙の谷』という本を担当しました。特に『涙の谷』は自分で拘置所に足を運んで本人と何度も手紙交換をしながら出版したのでとても思い入れがありますね。

たまご:『涙の谷』読ませていただきました。ニュースで見た印象と彼女は少し違うなという印象でした。ニュースでは整形を何度もしながら顔を変えてまで逃げまくっていたみたいな紹介のされ方でしたけど、あまり必死に逃げていた感がないというか。殺人を犯すまでの彼女の人生もとても壮絶で。

たまご:出版までに至った経緯を教えて下さい。

平田さん:福田さんのニュースを見たときに、とても興味が湧いて。時効が成立する21日前に逮捕されたんですよ。なんでそのタイミングで?!と思いました。どうして捕まったのか、逃げている間どんな生活をしていたのか、どんな気持ちでいたのか、どうやってお金を稼いでいたのか、全部が気になってしまって。

平田さん:絶対に話が聞きたいと思って、彼女の出身地であるテレビ愛媛に連絡しました。そうしたらたまたま福田さんと面会可能な友達に繋がりました。

たまご:すごい!その行動力!テレビのニュースで見た気になった人に直接アポが取れてしまうんですね!

平田さん:探し続けたら必ず糸口は見つかりますよ。それで拘置所に何度も通って彼女と手紙交換をしながら手記というカタチで出版しました。

たまご:『涙の谷』は福田さんご本人が書いた本として売り出しているんですもんね。本来あまり自分の過去について話したくないのかなと思うのですが、ご本人をどうやって口説き落としたんですか?

平田さん:最初からそんなに乗り気じゃないわけではなかったと思います。彼女はどこかドラマチックに生きたいという思いがあったのだと思います。自己肯定感が高い部分と低い部分の両方を持っていて、自分のことを語って色んな人に理解をして欲しいという思いもあったと思います。

平田さん:自分が殺人を犯してしまうまでにはこんな事情があったんだよということとか、自分が逃げ続けたときには本当はこんなことを思っていたよとか。

たまご:ニュースを見ただけでは全く彼女の過去とか殺人の動機まではわからなかったです。

平田さん:彼女の母親や弁護士の方にはいろんな出版社からオファーが来ていたようです。でも本人に直接会いに行った人は私だけだったので扶桑社で出版できることになりました。

たまご:なかなか拘置所にいる本人にアポを取ろうとは思いつかないんでしょうね。ご本人とは仲良くなれましたか?

平田さん:仲良くなれましたよ。やっぱりこういう本は信頼してもらわないことには始まらないので。だからこの本が出版できたのは、1つ目に私の好奇心があって、2つ目に1つの糸口から細い糸でも諦めずに太い信頼関係に持っていったことと、3つ目が相手に共感性を持つことですね。

たまご:お二人の信頼関係が生んだ本なんですね。何度も拘置所に通いながらの作成は大変だったと思いますが、この本の出版こそ、彼女が望んでいた最高のエンディングのような気がします。

目の前に来たことを大切にしなさい

たまご:今は転職の時代と言われていますが、平田さんはフジテレビに15年間、扶桑社に27年間、起業して11年間という長い間同じ会社で働く経験をされていると思いますが、同じ会社で働き続けたモチベーションは何かありましたか?

平田さん:私はずっと仕事を続けたことで役員にもなれましたし、そこの部門のエキスパートになれました。継続は力なりって本当にそのとおりだなと思います。わからないことがあったらみんなが私に聞けばいいと思ってくれている。1つのことを極めるというのは大事だなと感じました。

たまご:今よりも女性が管理職になるというのは難しい状況だったと思いますが、継続することできちんと能力を認めてもらえるというのを証明したのがすごいですね。

たまご:いままで色々な仕事を経験されてきたと思いますが、一番楽しかった仕事はなんですか?

平田さん:全部楽しかったですね。テレビ局にいたときも仕事の内容は電話に出たり、お茶くみをしたりでしたが、人によってお茶の濃さの好みが違うので、その人に合わせてお茶を入れたり、会社の代表としていかに感じ良く電話に出るかだったり、自分の仕事の範囲内でより良い仕事をするのが楽しかったです。

平田さん:自分が作った本が本屋に並んでいるというのはとても嬉しいですし、世の中の人に喜んでもらえることが嬉しかったです。

たまご:平田さんのお話を聞いていると、きっとどんな仕事も楽しんでできるんだろうなという気がしました。

平田さん:そうだと思います。いつも私に課せられた仕事を楽しもうという気持ちで仕事をしてきました。何をやっていても楽しいですね。私が人に相談されたときによく言っているのは『目の前に来たことを大切にしなさい』という言葉です。1つのことをきちんとできないままで次の職場に行ってもきっとうまくできないから。まずはいま目の前にある仕事に全力を尽くしなさいと。

たまご:それはとても大事なことだと思います。どこの環境でも継続してみないと見えてこないことが必ずありますよね。結果がすぐに出なかったとしても継続してみないとその結果を求める権利もないんじゃないかなと思います。

働く女性のロールモデルになりたい

たまご:今後、会社としてでも個人としてでも挑戦してみたいことはなんですか?

平田さん:ずっと目の前のことに全力を注いできたキャリア人生だったので、今後は皆さんの役に立つ仕事をしていきたいと思っています。だからお仕事の依頼をいただいたら自分が必要とされているのであれば極力すべてお受けしたいと思っています。私の人生の中で学んだことが誰かの助けになったらいいなと思います。

平田さん:現在おしず塾という女性の生き方や自分と向き合い・自分を知るという時間を作るサロンを行っていて、今後はもっと大きいネットワークを作ってみたいなと思います。

平田さん:女性の働き方改革とかも叫ばれていますけど、私の知る限り活躍されている女性も沢山いらっしゃいますが、なかなかそこまで手が届かないと思われいてる女性も多いのではないでしょうか?

たまご:バリバリ仕事がしたいとか、結婚や出産をしても仕事を続けたいとか、女性管理職になりたいとかそういう思いを持った人はたくさんいますし、会社側もそれを推奨していますともいってますが、実際に成し遂げた人ってなかなか周りにいないですね。

平田さん:そうですよね。だからこそ私がみんなのロールモデルの一人になりたいなと思っています。

社会と繋がり続けることと、経済的に自立すること

たまご:今の就活生へメッセージをお願いします!

平田さん:男性でも女性でも、『絶対に仕事はしなさい』ということを伝えたいですね。仕事の大きい小さいに関係なく続けていた方が良いと思います。女子大生で、もしかしたら花嫁修業をして結婚して仕事はしなくていいかなと思っている人もいるかもしれません。でも私は仕事はできるだけ経験して欲しいなと思います。

平田さん:その理由は2つあって、1つ目は私が仕事からすべてを学んだからです。仕事をしていると人脈も広がるし、世界も広がる。家にいたら世界は広がりません。社会に出ていることが大切です。

たまご:社会とつながりを持っておくことはとても大事ですよね。

平田さん:仕事をしていたら辛いことはあるに決まってます。嬉しいことも辛いことも悲しいこともあります。そのすべてを経験することで人間としてどんどん大きくなって、人の気持ちが分かるようになって、コミュニケーションが取れるようになって、人に優しくなれるのです。

たまご:仕事を初めてまだ1年目ですが、私も少し成長できた気がしています。学生時代に気にしていたことがいろんな世界を見ることで、すごく小さなことだったんだなと気づくことができました。

平田さん:それからもう一つは経済的に自立するためにも仕事をし続けることが大切です。結婚して男性に養ってもらっているという立場だとどうしても我慢してしまいます。経済的に自立できていればどうしても耐えられないことがあったときにその場から逃げられる。だから仕事の大きい小さいに関係なく、小さくてもいいから自分のお金をもっていた方がいいです。

たまご:お金を稼いでいる額が0と100だとしたら、どうしてもお金を稼いでいる方が発言力が強くなってしまうのかなと思います。家庭でもイライラすることはあると思うので、職場という息抜きがあることは大切ですね。

たまご:そう考えると、平田さんはあの時フジテレビに入社していてよかったですね!今思えばその選択からすべてが始まったというか。

平田さん:本当によかったと思っています。あのときフジテレビに入社したから今があるし、出版社に出向になったときも最初は全然わからない世界だし不安だなと思っていましたが、その経験があるからこそ今現在出版の仕事ができています。

たまご:平田さんの行動力ですよ!ニュースで見た気になった方に直接アポを取りに行ったり、フジテレビも学内試験の締め切りは終わっていたのに直接電話して受けに行ったり。お話を聞いていると平田さんの行動力に圧倒させられます。

平田さん:そうですね。諦めないでとことんやる、行動し続ければいつか糸口が見つかる。それは経験上断言できますね。

たまご:なかなかすぐに結果が出ないと諦めてしまうことが多いですが、実際に行動し続けて現実が変わった方がいるというのはとても自信になります!

ヒラタワークス株式会社 会社概要

会社公式ページhttps://hirataworks.jp/

お仕事のご依頼・ご相談

お問い合わせhttps://hirataworks.jp/#con_fmAr

編集後記

女性は家で家事をするのが仕事という社会だったなんて信じられないですね。

もし女性に生まれた時点でその運命が決まっていたとしたら、私はつまらなくて海外に飛びそうです。

その環境を当たり前だと受け入れずに、働き続けてくださったこと、平田さんが道を開いてくれたからこそバリバリ働く女性が認められる世の中に近づいていっているのだと思います。

また、私は将来、男性も女性も家庭と職場、どちらにも居場所があったらいいなと思います。

どちらで辛いことがあったとしても逃げ場になるし、選択肢があることで心の余裕ができる。

仕事でも上手くいかないことは必ずあるし、家庭でもイライラすることは必ずあります。

どちらに生きる男性も女性もワークライフバランスを認め合うことができたら、日本はもっと働きやすく、生きやすい国になりそうですね。

私も平田さんのように、どんな場面も楽しんで乗り切ることができて、いつまでもキラキラしている女性になりたいなと強い憧れを抱きました。

投稿者プロフィール

レイニー
レイニー
美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。

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