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DXは2021年に最も一般に浸透したIT用語の一つで、IT業界のみならず一般企業にまでDX化・DX推進事業といった事柄で取り入れられてきました。

2022年以降は更に私たちの身近な所にまでに浸透していくことが予想されます。

しかし、公的機関のコンサルティング推進や機器アップデート、または巣ごもり需要の有無にかかわらず、その意味や役割の浸透はまだまだ完全とは言えません。

こちらの記事ではそんな『DXとはそもそも何か?』という基本の概念について解説していきます。

DXの概念

DXとは『Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション』の略で2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されています。

ストルターマンは

『進化したIT技術が浸透されることで、人々の生活がより快適で良いものへ変革させる』

とDXを表しました。

また経済産業省が発表した『DX推進ガイドラインVer.1.0(2018年12月)』によると、以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

つまりDXとはIT化そのものではなく、『手段』としてサービス・製品・ビジネスモデルの変革を進めるというものです。

IT化はあくまでも『目的』であり、DXとIT化は一見すると同じ意味に見えますが、実は意味が全く異なります。

DXがなぜ今注目されているのか

前項ではDXの由来と概念について述べましたが、DXがいまなぜこのタイミングで注目され企業が取り組みを進めているのか、その理由について説明致します。

2025年の崖問題

『2025年の崖』とは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムに想定される国際競争への遅れや日本経済の停滞を指す言葉です。

この言葉は、経済産業省が2018年に公開した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』で示され、3年が経過した2021年も未だに議論が繰り広げられています。

2025年にはIT関連の人材不足が43万人までに到達すると言われています。また、21年以上稼働している基幹システムが6割以上になるとされ、その刷新が行われない場合、2025年以降にそれに伴った経済的損失が拡大することが予想されています。

2021年の損失額は推定値で4兆円/年となっていますが、2025年には3倍となる最大12兆円/年に経済損失が生まれる可能性があるともされています。

2025年までは片手で数えるだけとなった20年代、もはやこの問題はまったなしの状況にあるというわけです。

労働力の不足

総務省が発表した2018年版 情報通信白書で15歳~64歳の生産年齢人口は2017年の7,596万人(総人口に占める割合は60%)が2040年には5,978万人(53.9%)に減少する事が推計されています。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html

日本は世界的にみても、少子高齢化が進んでいるため、この数値が改善される可能性は限りなく低く、年々労働人口が不足していく事はほぼ確実となっています。

労働人口の減少により、労働力不足が顕著となった状況で現状と同様の成長を続けていく為には、業務効率化の普及が欠かせません。その為DXを推進する事が必須と言えます。

人間が行っていた作業をオートメーション化し、その効率と生産力を補っていく事で人口推移から来る国家的な経済の傾きを支えるという狙いです。

また過去には高度な命令が必要だった機械での作業も、デバイスの簡略化や高速化が進み、使い手を選ばない便利なものとなりました。

こういった一般に浸透した『最先端でありながら誰でも扱える便利な技術』こそがDXの真骨頂と言えます。

業務効率の改善

上記のように労働力不足を補う施策として、業務の効率化が欠かせません。

しかし前項でも言及した様に単純にIT化やシステム化を行ったとしても業務効率化に直結するわけではありません。新しい機械等の導入から業務効率の改善の方法を模索し、IT化によって根本的に働き方を実現していくものであり、それが結果として全体の効率化=DXに繋がります。

また、既存の業務効率改善のみならず新しいビジネスモデルや新たな価値の創出を行う事でも、世の中に新しい便利な概念が登場したとして、これもDXを促進した事例と言えます。

例えばメルカリなどの個人出品のシステムは、スマートフォンの普及により実現しています。

自宅にある売りたい商品をカメラやスマートフォンで撮影して出品。また自分で付けた価格で商品を売買できます。

掲載・受注・売買・配達の高度なシステムが一般普及したことによって新たに創出されたビジネスモデルです。

DXの主な事例

DXの注目を受けてデジタル変革に対する現状に危機感を持つ企業は増えてきているものの『DXに取り組み始めている企業』と『まだ取り組めていない企業』と二極化しつつある状況と言えます。

以下では、DXの代表的な事例を紹介致します。

勤怠管理のシステム化

社員の勤怠管理システムは政府が推し進めている『働き方改革』のなかでも、長時間労働の是正が大きな柱の一つとなっていることからも導入が一気に加速しました。

従来、社員の勤怠管理はタイムカードを使用して行う事が一般的でした。しかしタイムカードでは、集計に多くの手間と時間が必要な為、担当者の大きな負担となっていました。

そこで、クラウド型勤怠管理システムを導入して、就業時間を全て自動計算・管理することで、正確な勤怠管理ができて担当部署の負担軽減につながりました。業務効率化や長時間労働の是正にも貢献しています。

クラウド上でのデータ共有

電子化できるものはできる限り電子化を進めれば、全てクラウド上で共有することが可能になります。

クラウド上でのデータ共有とはファイルを保管・管理する仕組みを通して複数の利用者が同じデータにアクセスできることをさします。

新型コロナウイルス感染拡大の終わりが見えず、テレワークが常態化した2020年~2021年では、クラウド上でのデータ共有はセキュリティの面で不安はあるものの新しい手法となりつつあります。

新しいビジネスシーンの創出

DXにより新たなビジネスシーンとして代表的なのが、Uber Eatsです。

Uber Eatsは、本来出前を行っていない店舗の商品も注文できるサービスです。

自宅に居ながら、レストランのご飯を直接注文出来たり、スターバックスなどのコーヒーも一緒に届けてもらう事が出来る為、外に出かけることなくおいしい食事を堪能することができます。

注文側は発注完了から配達までをスマートフォン一台で完了でき、配達員側も配達受注と配達完了報告を同じくスマートフォン一台で完了することができます。

店舗側もこのシステムに対応したやり取りをしており、三者が一般普及したハイテクデバイスを駆使してUberを仲介する事によりそれぞれの需要と供給を満たしているのです。

こうしたスマートフォンを活用した出前システムは、新型コロナウイルス拡大に伴って在宅需要が増えたことから爆発的に拡大した新しいビジネスモデルとなります。

DXを日本で普及させていく上での課題

DXは企業の成長や生産性向上など多くのメリットがあるにも関わらず、なぜ日本の企業では普及が進まないのでしょうか。2つの観点から課題について見ていきます。

IT人材不足

DX普及の大きな足かせとなっているのがIT人材の不足です。スキルや専門性を持っている人材が圧倒的に不足している為、DX推進に対してのコンサルタントが圧倒的に不足しています。

ITコンサルを専門に行っている会社もあり、それらは2021年に事業規模を大きく拡大。

2022年以降は更に拡大していくことが予想されます。

売上上昇などの相場観を見ても、需要は伸び市場動向もそれに合わせて動いていることが見て取れます。

DXを普及させる為にも国内で技術進化のスピードに対応できる人材の育成が急務となっています。

また日本企業の特有の体質もDX普及が進まない理由です。

その特徴というのは『縦割り社会』のことです。

日本企業は部署同士のつながりが薄い企業が多く、他の部署とのコミュニケーション不足やそれぞれの部署や現場に合わせてシステムを分散化した結果、システムが部署や現場で孤立している企業が多く存在します(ただし、官公庁はわざと同じシステムを導入しないことによりセキュリティの強化をしているという説があります)。

この様に分散化した事によりデータをまとめる(一元化する)事が出来ず、データの活用が出来ない、システムの中身が複雑すぎるなど、DX推進の普及に大きな障害となっています。

こういった日本独特の企業課題もDXの普及への大きな足かせとなっています。

経営陣のDXに対する知識不足

またDXに対する経営陣の知識不足も大きな要因となっています。DXというワードが急速に普及して企業としてDX推進課などの部署を慌てて設置した企業が増えてきましたが、実際に『何を取り組むものか』というのを理解している人は少ないです。

経営陣がその企業に合わせて本気でDXに取り組めば、今後の成長に大きく貢献します。

なぜならDX化により、業務の生産性や正確性を格段に向上することができるからです。

DX化を行い業務の最適化ができれば、作業時間の短縮、人件費削減また作業の正確性が向上できます。

これらの効果を得ることにより、従業員はより重要で高度な業務に集中できるようになります。

現状、欧米に比べ日本はDXの導入に非常に遅れを取っています。すでにそこに迫っている『2025年の崖』問題が現実となり、日本は国際社会から取り残され大きな損失を被る瀬戸際まできています。

企業の成長と未来の日本の発展の為、DXの意味を正確に理解して取り組んで行くことがいま求められています。

投稿者プロフィール

レイニー
レイニー
美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。

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