近い将来AIに仕事が奪われるかもしれない。
この言葉は特に2010年代後半から騒がれ、2022年一気に現実味を帯びました。
あなたはAIの脅威を実感したことはありますか? 所詮他人事だと思っていませんか?
もしも自分の今やっている仕事がなくなったとき、あなたは他の分野で生き残る側の人になれますか?
AIにも人間にもそれぞれメリット・デメリットがあります。
今後私達はどのようにAIとうまく付き合って行けば良いのか。
捉え方によっては、このAIの波は日本にとってもチャンスになるかもしれません。
このシリーズでは1年間就活を経験した私が現役社長や役員の方々を訪問し、インタビュー形式で社長さんの人生やキャリアの選択方法について語っていただきました。
働き方改革と緊急事態宣言で変わったことはなんですか?
今後の就活生はどこを見て仕事を選んだらいいの?
今世紀最大の就活氷河期を生き抜いた私が聞きたかったことをズバズバ聞いてきました。
就活生の皆様、ぜひ参考にしてみてください。
編集担当:たまご
インタビュー日時:2023年5月
このメンバーで世の中を沸かせたい ワクワクの上へ
今回インタビューさせていただいたのは株式会社TENHOのCTO(Chief Technical Officer:最高技術責任者)の児玉知也さん。
学生時代に同級生を集めて起業し、現在は従業員数約20名、平均年齢24歳と若手先鋭を集めた、時代の最先端を追求する会社を運営されています。
現在は話題のChatGPTの企業導入支援事業として、大手企業や行政に向けてセミナーを各地で開催しております。
AIの発展により、今後可能になることとは?AIに奪われる仕事はあるのか?今気になる疑問を質問してきました!
AI導入で年間1,800万円の経費削減も可能◯
たまご:本日はよろしくお願いいたします。まずはじめに児玉さんの略歴を教えてください。
児玉さん:僕はフリーランスからTENHOに合流した形になります。社長と副社長が中学からの知り合いで、僕は副社長と高校2年間同級生でした。元々社長と副社長が会社を既に始めていて、縁あって一緒に事業をすることになりました。
たまご:中学から一緒なんですね。昔から仲が良かったのですか?
児玉さん:中学の頃はほとんど話したことはなくて、一緒にビジネスをやろうとしたきっかけも大学生になってからです。お互いに自分が今やっていることを定期的にSNSで発信しており、ある日久しぶりに会おうとなった日をきっかけに一緒に仕事をすることになりました。
たまご:やはりSNSで自分の活動を発信するのは大事ですね。もともと皆様はIT関係のビジネスをされていたのでしょうか?
児玉さん:CEOの新堀とCOOの田村はもともとインフルエンサーマーケティングの会社をしていました。そこからITでデータサイエンスのノウハウのある僕と協業し、エンジニア領域に会社が広がっていきました。
たまご:そうだったんですね。学生時代から皆様ビジネスをやっていたということでとても尊敬します。
たまご:次に御社のサービス内容について詳しく教えてください。
児玉さん:サービス内容は主に3つあって、「ソダテル」「ChatGPTのセキュリティーセミナー」「C-Clone(シークローン)」です。1つずつ説明しますね。
児玉さん:「ソダテル」は企業向けのエンジニア育成サービスです。エンジニアの経験がゼロの方でも3ヶ月でエンジニアとして社会で活躍できる人材に育てるカリキュラムを提供しています。
たまご:エンジニアのお仕事はとても専門的で、素人には手を出しづらい印象がありますが、未経験から3ヶ月で仕事にできるというのは企業にとっても個人にとっても魅力的ですね。
児玉さん:ChatGPTのセキュリティーセミナーというのは企業や行政のAI推進事業を支援するセミナーになります。AIが話題になっていることはわかっているけれど自社のサービスや業務にどのように取り入れていったら良いのか、導入する際にどのようなところに気をつけたら良いのかをセミナーで教えています。
たまご:行政や大手企業は特に導入までのハードルが高そうですね。
児玉さん:3つ目のC_Cloneというサービスは企業のCS(customer Support)対応にAIを連携させるサービスです。知識量はもちろん、お年寄りや子供相手のサービスの場合、口調を優しくするなどの設定変更も可能です。
児玉さん:導入事例としましては、企業がCS対応に毎月人件費を200万円割いていたところ、このC_Cloneを導入することで人件費150万円の削減に成功しました。年間でいうと1,800万円もの経費削減になります。
たまご:導入前の4分の1まで持って行けてしまうんですね。AI恐るべしです。
唯一AIに規制を設けていない日本は今がチャンス
たまご:御社のアピールポイントを教えてください。
児玉さん:強みは3点、「スピード」「若さ」「情熱」です。あらゆることを、スピードを意識して即実行に移せるメンバーです。社員の平均年齢が24歳なので、新しいものにどんどん挑戦していく柔軟性と、大きなことに立ち向かっていける、怖いもの知らずなところがあります。
児玉さん:また、不況な世の中で育ってきた背景があるからこそ、「落ちていく日本の再興」をしたいという反骨精神と情熱があります。
たまご:落ちていく日本の再興ですか。
児玉さん:バブルの時代、世界の稼いでいる企業ランキングには上位50企業を多くの日本企業が占めていました。しかし今世界ランキングに入れる企業はTOYOTAの1社のみです。
たまご:アメリカや中国の企業に圧倒されていますよね。
児玉さん:バブル以降、日本の経済は下降傾向にありますが、何度か再興のタイミングはありました。たとえばビットコイン。ビットコインの開発者はサトシ・ナカモトという方です。素顔は明かされていないのですが、日本人の名前なので日本人なのではないかと言われています。
たまご:そうだったんですか?!知らなかったです。
児玉さん:しかし日本政府の規制が早く、どんどん規制のなかった海外に流れていってしまいました。それから半導体が出始めたときは日本は世界シェア1位でしたが、現在では約6.2%(※2022年現在)まで落ち込んでいます。
たまご:日本は精密機器に強いと言われていましたよね。でも今は台湾企業が強い印象です。
児玉さん:そうなんです。そのチャンスを日本はものにできず、現在先進国の中で最もGDPが低くなってしまっています。唯一30年間GDPが変わっていないんですね。
たまご:30年間成長できていないということですね。
児玉さん:それでも物価は上がって給料は変わりません。今はアメリカのマクドナルドでバイトとして働くのと日本で正社員として働くのだとアメリカのマックで働く方が割が良いそうです。
たまご:そうなんですね!海外は初任給も日本より全然高いと聞くので、今は円安の影響がそこまで顕著にあらわれているんですね。
児玉さん:アメリカのみならず、少し前までは日本から東南アジアへ、オフショア開発を行っていましたが、現在は日本のほうが賃金が安いと、日本に仕事が回ってきたりもしていますね。
たまご:このままでは日本の衰退に拍車がかかってしまいますね。
たまご:そこで、今のAIの波は日本にとって次なるチャンスになるということでしょうか?
児玉さん:はい!AIに関して欧米諸国ではすでに規制を始めている国が多くあります。たとえばイタリアではChatGPTの使用を禁止していました。閲覧禁止、仕事をAIに奪われることを恐れての動きだったのだと思います。
児玉さん:しかし日本は「便利なものは使おう」とAIの使用に前向きな姿勢であることを示しました。
たまご:日本は今回強気ですね。すでに閲覧禁止の国があるなんて、そしてそれが先進国なので驚きです。規制される前に、また規制されない範囲でどこまでうまく活用できるか、このチャンスはものにしたいですね。
人々の給料を1円でも上げたい それが生まれてきた使命
たまご:会社としてでも、個人としてでも今後挑戦してみたいことを教えてください。
児玉さん:会社としては、AIで世の中に革新的なサービスの提供をしてみたいです。個人としては、表向きは親孝行。裏目標は日本のGDPをもう一度世界二位に戻したい。
たまご:親孝行ですか。
児玉さん:幼い頃から、周りに自慢したくなる息子になりたいという思いがあります。
児玉さん:僕が母子家庭で育ったので人一倍親孝行したいという気持ちは強いです。僕をおなかに宿したとき、母は未婚で仕事もバイトだったので、周りの友達や両親にも生むことを反対されたそうです。それでも自分で判断して生む決断をしてくれたことにとても感謝しています。
児玉さん:だから僕が仕事で社会のためになることを成し遂げて、人々の給料が1円でも上げることができたら、生まれてきてよかったでしょ?と周りの人に、僕も母も胸を張れるかなと思っています。
たまご:こんなに素敵な息子さんは生まれてきただけで素晴らしいと思いますが、さらにこれ以上に人々の給料を1円でも上げたいという強い目標があって尊敬します。お母様も幸せですね。
占いの上位互換 近い将来未来予知が可能に
たまご:AIやChatGPTが普及していったときに、人々の仕事はどのように変化すると思いますか?ご意見いただきたいです。
児玉さん:エンジニアもエンジニア以外の職種も、「AIをうまく活用できる人」が生き残っていく世界になると思います。AIによって仕事が奪われるということで嘆く方もいますが、今の状況を見ると僕はピンチではなくチャンスだと思います。
たまご:AIをうまく活用できる人とはどのような人なのでしょうか?
児玉さん:まずAIと人間にはそれぞれメリット・デメリットがあると思っております。AIのメリットは24時間365日休みなく、サボらず働けること、ミスをしないこと、デメリットは説明したことしかできないところ。人間のメリットはかしこい人は1を教えれば10を理解できるところ、デメリットはサボってしまったり、1日8時間程度しか働けないところです。
児玉さん:今後はAIにやって欲しい仕事を明確に言語化して、AIにうまく指示を出せることが求められてきます。なので、指示待ちの人はAIに取って代わられてしまうおそれがあります。
たまご:AIを働かせる側にいることが大事ですね。
たまご:数年後にAIはどのように発展していると思いますか?今まではそんなことできるわけがない!と思っていたことで、数年後にはできてしまうかもしれないと思うことはありますか?
児玉さん:完璧な未来予知までとはいきませんが、現在のAIを見ていると過去の統計からある程度の未来予知、誰と結婚して、どこに就職して、何歳に何の病気で死ぬかなどができるようなサービスが生まれると思います。このサービスが生まれたら自殺者が増えるなどと言われていますので、倫理的には分かりませんが理論上は可能です。
たまご:自分の未来が見えてしまうということですか、たしかに自殺者が増える危険性がありますね。
児玉さん:ただあくまで今の生活を続けていた場合の未来予測なので、それをわかった上で今をどう改善するかで未来は変わります。性能の良い占いのようなものですね。占いの上位互換になりうる。
たまご:タイムスリップしてきたと思えばいいんですかね。過去を変えても良いタイムスリップというか。自分の将来を知って、諦めてしまうのか、将来を変えるために行動するのか、どっちのタイプの人かでAIとの付き合い方が変わってきそうですね。
人間が気持ちよく払える最大値とは?
たまご:キャリアを築いていく中で影響を受けた人、本などがありましたら教えて下さい。
児玉さん:スティーブ・ジョブズ、孫正義、藤田田から影響を受けました。
たまご:お三方が創業された会社については知っているのですが、特にこの考え方が好きなどありますか?
児玉さん:スティーブ・ジョブスの尊敬するところは不屈の精神、孫正義さんは努力家で有言実行の方です。藤田田さんは日本のマクドナルドを作った人なのですが、頭が良すぎる方とも言われています。彼が書いた本に『ユダヤの商法』という本があります。
児玉さん:22:78の法則というのがあって、マックのセットを390円で販売した理由として390円は500円のちょど78%の金額なのですが、それが人間が気持ちよく払える最大値なんです。※諸説あり
児玉さん:それから、ポケットから小銭を出すときに一番出しやすいキャッシャーの高さまで計算しています。※諸説あり
たまご:そこまで人の心理を数値で出せるなんてすごいですね!
児玉さん:頭が良すぎるので藤田田さんは唯一、世界のマクドナルドの支店の中でも自由に運営することを許されているんです。他の国のマックはアメリカの商品と全く同じ商品を提供していますが、日本だけオリジナル商品があるんです。
たまご:そうだったんですね。知らなかったです!
全く知らない領域で、目的だけ言われたらそれを達成させる能力
たまご:先日めざまし8に出演されたそうですね。現在各地セミナーなどからオファーをいただいているとのことですが、貴社のサービスは普段どのように情報発信をしていらっしゃいますか?
児玉さん:Twitterとプレスリリースを活用して情報発信を行なっています。めざまし8含む、取材の申し込みやサービスのお問い合わせはプレスリリース経由が多いですね。先月も100件近くはお問い合わせをもらっていると思います。ここの情報発信部分は更に力を入れていきたい部分です。
たまご:ご自身のTwitterで情報発信をされているのですね。(児玉さんのTwitterアカウントはこちら→https://twitter.com/tenho7_kodama)
たまご:ご本人の就活エピソードを教えて下さい。
児玉さん:就活は大学2年生の1年間だけ行いました。当時バイトとサークルしかやることがなく、自分にスキルをつけたいと思いデータサイエンス企業でインターンを行なっていました。そこでの知識や経験が今のAI推進事業や教育事業のきっかけとなりました。
たまご:学生時代からインターンをされていたんですね。ご自身たちで起業しようと思ったきっかけは何かありますか?
児玉さん:祖父が会社をやっていたので、小さい頃から起業ということ自体は身近にありました。なかなか踏ん切りがつきませんでしたが、大学生時代に、フリーランスで0からお金を稼ぐことがきっかけで自分一人でやろうと思ったのが最初です。
たまご:ご家族に経営者の方がいらっしゃったんですね。
たまご:最後にご自身の経験も踏まえて、今の学生・就活生へメッセージをお願いします。
児玉さん:本格的な就活をしたわけではないので、的確なアドバイスはできませんが、企業が一番ほしい人は「全く知らない領域で、目的だけ言われたらそれを達成させる能力」がある人だと思います。自走できる、かつ足りない部分を自分で補える力を身につけられるように頑張ってほしいです。
たまご:すごく高い能力ですね。
児玉さん:この目標を達成するにはどのようなものが必要か自分で取得できるスキルなのか、人に頼んだ方が効率が良いのか、人に頼んだほうが良いのなら適切な人材をアサインして指示を出す。それができる人が求められるようになると思います。
たまご:人に指示をされて動くだけが仕事の時代は終わりつつありますよね。AIに淘汰されない仕事をするためにもこの能力は必要になってきそうですね。
たまご:学生の皆様に、今経験しておいたほうが良いことをアドバイスするとしたらなんとアドバイスしますか?
児玉さん:1つで良いので、武器になるスキルを身に着けてみることをおすすめします。そのためにも学生時代からバイトやインターンの経験、特に社会人の方と一緒に仕事をする経験があるととても財産になるかなと思います。
たまご:インターンの経験は就活の面接の際にもとても武器になると私も思います。会社に入るときがビジネスマナーを知る最初の機会ではないというだけでも面接官からは好印象になりそうです。
たまご:本日はお時間いただきありがとうございました。
児玉さん:ありがとうございました。
株式会社TENHO 会社概要
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編集後記
ある人に私は、人にどの職種がAIに取られますか?と質問したことがありました。
その時は「完全にAIに奪われる職種はない。どの職種であっても誰に頼んでも成果物が変わらないような独自性のない仕事の仕方をしている人がAIに淘汰される」との回答をいただきました。
私は当時その言葉の意味があまり腑に落ちていませんでしたが、このインタビューを通してすっきりと理解することができました。
それから、児玉さんの「生まれた来た意味として、人々の給料を1円でも上げたい」「日本のGDPを自分たちの手で世界2位に戻す」という強い社会貢献意識に心を動かされました。
彼らが世の中を沸かせる瞬間を見るのがとても楽しみです。
そしてその背中が、次なる学生の起業したい方々への活力になることを願っています。
投稿者プロフィール
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美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。
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