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海外旅行に行くときに不安に思うことはなんですか?

全く文化を知らない国で、知らない言語を話す人達の中で、無事に帰ってこられるのか、『言語の壁』が最も海外旅行のハードルを上げている原因でしょう。

日本は島国ということもあり、海外旅行をする人口が少ない傾向にあります。

もしも日本語を喋るだけですべての国で自分の言葉が全世界の人に通じるとしたらもっと海外に行ってみたいと思いませんか?

このシリーズでは1年間就活を経験した私が現役社長や役員の方々を訪問し、インタビュー形式で社長さんの人生やキャリアの選択方法について語っていただきました。

働き方改革と緊急事態宣言で変わったことはなんですか?

今後の就活生はどこを見て仕事を選んだらいいの?

今世紀最大の就活氷河期を生き抜いた私が聞きたかったことをズバズバ聞いてきました。

就活生の皆様、ぜひ参考にしてみてください。

編集担当:たまご

インタビュー日時:2023年3月

言語の壁を払拭!近い将来リアルタイムで通訳が可能に

今回インタビューさせていただいたのは、株式会社ロゼッタの取締役である古谷祐一さん。

社会人になるにあたってまずは人としての器を大きくすることから始める必要があると、色んな人と接することができる大手旅行会社の添乗員に。

25歳のとき、『日本の中小企業1万社倒産』という記事を見たときが人生の転機となり、社会のために自分でビジネスを始めることを決意。

現在は株式会社ロゼッタの取締役として、『世の中の言語の壁をなくす』ことを目標にAI翻訳の先駆者として活躍されています。

今後の翻訳・通訳業界の動きについてもお話を伺ってきました。

自分の魂を清めるため、添乗員に

たまご:はじめに古谷さんの略歴を教えてください。

古谷さん:社会人になり、最初に経験したのが大手旅行会社の添乗員です。

古谷さん:添乗員になったきっかけはまず社会人として、そして一人の人間として修業を積む必要性を感じたからです。一度しかない人生において悔いの残らない決断を繰り返していくことで人として成長していく自覚があったので、まずは自分の魂を清めて器を大きくしていくことに専念する必要があると考えました。

古谷さん:沢山の方との会話、土地、空気、自然と全力で対峙し、精一杯利他に動くことをただ只管に行うことで、自らの器をどれだけ高められるか、20代は友人と遊ぶ暇もなく只管仕事に没頭しました。

たまご:添乗員というのは修学旅行や社員旅行などに同行する方ですよね。昔から旅行はお好きだったのですか?

古谷さん:昔から旅行が好きでした。高校生のときに目的地を決めずにおにぎり3つだけ持って自転車で旅に出たことがあって、目の前の道が3つに分かれていたら、どの道を選択するかはそのときの直感で決めるという旅です。

古谷さん:目的地が決まっていないため、体力的に徐々に疲労がたまり、結果として得られたものは期待していたような達成感ではなく、これ以上続けていても何も得られないかも知れないという結論でした。

古谷さん:ただ、この目的地を決めない旅は、自分の人生にとって大きな収穫でもありました。人生も同じで目的を決めて計画的に行動をしていかないと今回の旅のように気が付いたら人生の貴重な時間を無駄に浪費するという結果になり兼ねないと。そこでまずは自分の人格・魂を磨くことが出来る仕事に就くことを第一の目的としました。人として人格を磨いた上で改めて何がしたいのか自問自答しながら人生設計をするほうが後悔のない人生を送れるかも知れないと考えたのです。

たまご:それでたくさんの人と触れ合える添乗員の仕事を選んだのですね。添乗員さんは一緒に旅行をするお客様とは仲良くなるんですか?

古谷さん:すごく仲良くなりました。修学旅行だと生徒たちの消灯の後に職員さんたちと添乗員たちでの反省会という名の飲み会があるのですが、そこでの接待に力を入れていました。来年も無事契約がもらえるように、きめ細やかな配慮を心がけて営業を頑張っていました。

たまご:消灯の後、私達生徒が知らない間にそんなことが行われていたんですね!

「日本の中小企業1万社倒産」というニュースに衝撃

古谷さん:人生の転機は25歳の頃でした。その日の日経の1面に「日本の中小企業1万社倒産」という記事が目に入った瞬間に、私の人生を何に費やしていくのか、私がこれから寿命を迎えるまでに1人の人間として社会に貢献できることはないのか、自分のアクションでそれらの会社が倒産しないようにする手助けがしたい、そのような思いから30歳で起業する決意をしました。

たまご:1万社倒産ってその時そんなに不況だったんですかね。

古谷さん:たまたまその年に倒産した会社が1万社を超えたというだけで、毎年9,000社以上が倒産しているようです。日本は99%以上が中小企業と言われているので。

たまご:日本が中小企業大国だという話は聞いたことがありましたが、そこまで多いとは知りませんでした。そして毎年生き残りをかけていくつもの会社が倒産していたんですね。

古谷さん:中小企業の平均経常利益率は約3.3%と言われています。現在の日本の人口は1.2億人ですが、2050年には1億人を切ると言われています。つまり単純計算で日本国内で約20%のマーケットが失われるんです。

たまご:そういう計算になりますね。消費者が20%失われるって相当ですね。

古谷さん:ダイレクトに20%のマーケットが失われると利益率3.3%の会社はすべて赤字になります。このままでは国内だけではどうにもなりません。

古谷さん:特にベンチャー企業だと、10年生き残る会社は約4%のみと言われています。

たまご:ベンチャーで10年超えている会社はすごいんですね。

古谷さん:Twitterの創業者が面白いことを言っていて、『スタートアップとは崖から落ちながら飛行機を組み立てるようなもの』と。

たまご:そのくらいのスピード感が大事ということですね。

古谷さん:ゆっくり計画を立てている間に他の会社がリリースしてしまう世界ですからね。それくらいのスピード感で動けないと生き残れないと言われています。

AIに飲まれるくらいなら、自分たちが波になろう

たまご:添乗員から現在の会社のお仕事は業界もかなり異なると思うのですが、「30歳で起業しよう」と決意したときに最初に何から始めましたか?

古谷さん:おっしゃる通り業界が全く違うので、まずはITリテラシーを高めようとIT企業をいくつか経験しました。27歳のときに不動産会社の社長さんのもとで開始したWEB制作事業が軌道に乗り、契約顧客数も順調に伸びていきました。そのうち、大手IT企業との業務提携も増えていき、結果としてビジネスの親和性が高かったGMOインターグループの連結子会社としてWEB制作、翻訳に特化したクラウドソーシングを事業ドメインとした法人を立ち上げることになりました。30歳で会社のトップとなり、10年間起業経営を継続してきました。

たまご:1台の机と電話からスタートってなんだか夢がありますね!

古谷さん:結果として30歳でGMOインターグループの連結子会社としてWEB制作、翻訳に特化したクラウドソーシングを事業ドメインとした法人を立ち上げて、10年ほど経営をしてきました。

たまご:25歳に立てた目標通りぴったり30歳で起業されたんですね!

古谷さん:はい。30歳で起業しようと考えていたのでそれが実現してよかったです。

古谷さん:最初に行ったサービスはWEB制作事業と翻訳に特化したクラウドソーシング事業です。世界中から翻訳者をプラットフォームに集めることで、24時間365日インターネットを介して翻訳の依頼が出来るサービスを実現しました。元々は韓国でスタートしたビジネスモデルでしたが日本語にローカライズしてビジネスをスタートしました。

たまご:どのくらいの言語数対応していたのですか?

古谷さん:100言語くらいですね。レビューを星5段階で必須でつけてもらって、途中から翻訳者の指名制度なども追加しました。翻訳者の指導係もいて、一定のトライアル期間を経て登録可能にすることで、品質保証をしていました。

たまご:100言語ってかなりニッチな言語も対応していたんですね。翻訳者を世界中から集めるというのが斬新ですね。

古谷さん:ただ、このサービスが2016年に一気に業績がガタ落ちしてしまったんです。

たまご:2016年に何があったんでしょうか?

古谷さん:契約を解除されてしまったお客様にどうしてうちのサービスを使わなくなったのか、細かく調査しました。その結果、ほとんどの会社が「Google翻訳で事足りるようになった」と答えました。

たまご:Google翻訳の精度が上がったのが2016年だったんですね。

古谷さん:そうなんです。それまでのGoogle翻訳は本当に文章の構成もめちゃくちゃでしたし、ビジネスでは使い物になりませんでした。

たまご:今は長文を打ち込んでもちょっとした手直しだけでビジネスの場に提出できるくらい精度が上がっていますよね。

古谷さん:その時に、このままではこのサービスは衰退しかないと思いました。翻訳業界はいずれこのAIの波に飲み込まれる。それならいっそ「自分たちがその波になろう」と思い、思考錯誤した結果、自分たちは機械翻訳側のビジネスにシフトする必要性に気がつきました。結果として現在私が立ち上げた会社はメタリアルグループの連結子会社として機械翻訳事業とクラウドソーシング事業を展開し今日に至ります。

メタバース上で海外でショッピングも!「どこでもドア」サービス

たまご:次に御社の職種・業務内容について教えてください。

古谷さん:当社は東証グロースに上場しておりまして、弊社の親会社であるメタリアルをホールディングスに持ち、いくつかの事業会社で構成されています。

古谷さん:大きく分けて3事業領域がありましてそのうち、私はAI自動翻訳をベースに様々なプロダクトを展開している株式会社ロゼッタのボードメンバーとして主に営業面のマネジメントを務めております。

古谷さん:残り2つの事業ですが、1つは人間翻訳事業、こちらは株式会社グローヴァ、もう1つはメタバース事業で、こちらはマトリックス社と、それぞれ別のグループ企業で異なる事業を運営しています。

たまご:メタバース事業はどのようなことをやっているのでしょうか?

古谷さん:メタバースは今「どこでもドア」というサービスをやっています。

たまご:すごく面白そうなサービスじゃないですか!

古谷さん:ゴーグルをすると世界各地に旅行ができて、例えばイタリアに行くと私達は日本語で喋っていても、それがイタリア語に変換されて会話ができるようになっています。このサービスは現在老人ホームなどで需要が高まっていきています。

たまご:日本語だけでどこの国でも行けてしまうんですね!確かにお年寄りの方々は大勢で海外に出向くのは難しいと思うので、需要が高そうですね。

古谷さん:それにメタバース空間だからこそ、実際に訪れたら危ないスラム街などの治安の悪い地域などにも行くことができます。

たまご:いいですね!海外に行くハードルがぐっと低くなりますね。

古谷さん:ECサービスとの連携なども可能性がありますね。ゴーグルを付けたまま海外の店舗にアバターが入っていくことができて、そこで購入したものは後日実際に本物が自宅に届くようなサービスの実現も可能になるかも知れません。

たまご:日本にいながら海外のショッピングができてしまうんですか!夢みたいですね。

英語教育の行末は…?

たまご:会社としてでも、個人としてでも今後やってみたいことはありますか?

古谷さん:会社、個人共に同じ目的として、「言語の壁を払拭する」というミッションは昔から変わっていません。技術の革新により実現する一歩手前の段階まで来ていると思います。

たまご:現在の世界共通言語は英語で、日本でも義務教育に盛り込まれていますが、今後世界の言語はどのようになっていくと思いますか?世界中のみんなが当たり前に英語で会話するようになるのでしょうか?

古谷さん:弊社が開発した通訳システムの「オンヤク」が発達すると、みんな母国語しか話さなくてよくなります。

たまご:お互いが母国語を喋っているのにリアルタイムで相手の言語に翻訳してくれるということですか?

古谷さん:はい。この仕組みがウェアラブルに搭載され、どんどん軽量化します。

たまご:眼鏡みたいなものですか?

古谷さん:そうです。その眼鏡をかけた状態で話をすると、みんな母国語しか話していないのに会話が通じるようになります。

たまご:だとしたら近い将来、英語教育も必要なくなるのではないでしょうか?

古谷さん:5年後くらいには多言語を学ぶ必要はなくなるでしょうね。

たまご:近年日本は英語教育にすごく力を入れているので、そんな将来が来るなんて想像できないですね。

トランスクリエーション マーケティング翻訳は人間にしかできない

古谷さん:今話題のチャットGPTはご存知ですか?

たまご:仕事に活用してます!あのAIの精度はすごいですね。文章が不自然なこともなく、知識量も膨大です。最近は仕事で困ったことがあると、まずチャットGPTに質問してしまいます。

古谷さん:今リリースされているのはチャットGPT3なのですが、3の脳の大きさと人間を比較すると、アリとゾウのカラダのサイズくらいの差がありますよね。

たまご:そんなに人間よりも優秀なんですね!

古谷さん:はい。そして次に出るチャットGPT4はついに、「私はロボットではありません」のチェックを突破しました。

たまご:パズルをはめてチェックを入れるやつですね。ロボットが人間の振りができてしまうんですね。

たまご:人間による翻訳は今後なくなっていくと思いますか?

古谷さん:ある領域以外は人間の翻訳の仕事はなくなると思います。つまりトランスクリエーションと言われるマーケティング翻訳だけが残ります。それ以外の翻訳はAIが全て行います。人間はAIが翻訳した結果を見てチェックする仕事のみが残ります。

たまご:マーケティング翻訳とはなんですか?

古谷さん:例えば、Appleが青を強調したiPhoneのシリーズをリリースしたとして、そのキャッチコピーが英語で「Blue is Best」だったとしましょう。これが日本に入ってくるときに、AIがこのキャッチコピーを日本語訳するときっと「青が一番良い」みたいなのが出てくると思うんですね。でも本来伝えたい想いはこれでは表現されていないので、ここで人間の翻訳が必要となってきます。

古谷さん:大手広告代理店は「青が一番良い」にはお金は払いませんが、例えば「青なら進め。どこまでも。」といったiPhoneの青の鮮麗を想起させるような訳に価値を感じます。

たまご:意訳みたいなものですね。現代文の人の気持ちを読み取ろうみたいな。たしかにそれはAIには難しそうですね。

古谷さん:あとは、洋画の字幕ですね。字幕も直訳ではなくて、その作品の背景やキャラクターの性格を理解した上で翻訳しなければならないので、人間による翻訳が必要になります。

成功するには「考え方」「熱意」「能力」が大事

たまご:古谷さんの次なる目標はなんですか?

古谷さん:次にやってみたいことは会社の売上を100億円にすることです。現在は約30億円なのですが、私を育ててくださったGMOインターグループの熊谷代表の言葉にこんなものがあります。

古谷さん:10憶円規模の会社は嵐が来れば吹っ飛んでしまう、100億円規模の会社はあったら便利というサービスを提供している、1,000億円の会社は世の中に必要不可欠なサービスを提供しているというのがあります。

古谷さん:この言葉は常に私の中に存在しており、まずは次のステップとして100億企業を目指したいです。

たまご:古谷さんの会社が行っている「オンヤク」の開発は多くの人が待ち望んでいるサービスですよね。多くの人に広まったらすぐにでも人々は「オンヤク」なしでは生活できなくなりそうですね。必要不可欠なサービスになるのは時間の問題のような気がします。

たまご:最後に就活生へのメッセージをお願いします。

古谷さん:私が常に意識してきた、京セラ、KDDI創業者でありJAL再建に貢献した稲盛和夫氏のフィロソフィーを紹介します。このフィロソフィーによって私は今生かされているといっても過言ではありません。皆さんが今後仕事や人生を豊かに過ごしていくために必ず役に立つフィロソフィーなので是非、覚えていただければ嬉しいです。

人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の3つの要素の掛け算で決まります。このうち能力と熱意は、それぞれ0点から100点まであり、これが積で掛かるので、能力を鼻にかけ努力を怠った人よりは、自分には普通の能力しかないと思って誰よりも努力した人の方が、はるかにすばらしい結果を残すことができます。

これに考え方が掛かります。考え方とは生きる姿勢でありマイナス100点からプラス100点まであります。考え方次第で人生や仕事の結果は180度変わってくるのです。そこで能力や熱意とともに、人間としての正しい考え方をもつことが何よりも大切になるのです。

稲盛和夫氏

古谷さん:この先、皆さんが就職してから様々な困難や試練が訪れることでしょう。また、社会人になって多種多様な考え方を持つ人種とコミュニケーションを取っていくことになります。利己的な人もいれば利他的な精神を持っている方もいます。

古谷さん:ただ、全て修行だと考えて人と接してみてください。利他の精神で人と接してみてください。何に集中するときは只管打坐を念頭においてみてください。そうすることで少しずつ魂が清らかになり器が備わってきます。

古谷さん:そして考え方の基盤が出来ることで、仕事も人生も大きな成果に繋がるはずです。明るい未来を自らの力で切り開いていってください。

たまご:素敵なメッセージをありがとうございます。私もなにか達成しなければならない目標があるときに、この「考え方」「熱意」「能力」の3つの力関係を思い出そうと思います。

株式会社ロゼッタ 会社概要

会社公式ページhttps://www.rozetta.jp/

採用情報

採用情報https://www.rozetta.jp/form/form_inquiry.html

お仕事のご依頼・ご相談

お問い合わせhttps://www.rozetta.jp/form/form_inquiry.html

編集後記

私は海外に行ってみたいと思いつつも、英語は本場の人たちのスピードでは聞き取れないのではないか、ヨーロッパに行くと英語も通じないのではないか、などの不安から重い腰を上げられずにいました。

しかし古谷さんのお話を聞いて、リアルタイム翻訳ができる世界がもう本当に近い将来、来るのだなと確信しました。

メタバース空間で海外経験ができたとしたら、実際にその土地に行って、風を感じたい、匂いを嗅いでみたい、現地の人と触れ合いたいと、さらに海外旅行熱が高まりそうですね。

古谷さんが目指す、言語の壁がなくなった世界がもうすぐそこまで来ているかもしれません。

投稿者プロフィール

レイニー
レイニー
美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。

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